食道がんとは
食道がんは食道の内側の粘膜にできるがんで、いくつかのがんが食道に発生するケースもあります。食道粘膜の中で発生したがんは「早期がん」、粘膜下層まで広がっているがんは「表在食道がん」、粘膜の深部にまで広がっているがんは「進行食道がん」と呼ばれ、進行具合によってがんの種類は変わります。がんが食道粘膜にできると、少しずつ粘膜の奥深くまで進行し、その周りにある臓器や気管にも影響が及ぶ「浸潤」が起こります。さらに、がんが食道の中の血管やリンパ節に入り込み血液によって全身に運ばれると、肺や肝臓といった別の場所でがん細胞が増殖していく「転移」が起こることもあります。
食道がんの原因
食道がんはタバコとお酒が原因になる場合が多く、最もタバコとお酒が関係しているのは扁平上皮がんであり、発症する日本人は多くいます。お酒を飲むとアセトアルデヒドと呼ばれる発がん性の物質が体内に発生するため、この物質を分解する力が弱い体質の人は食道がんを発症するリスクが高いと言われています。タバコとお酒をどちらも摂る人は特に発症リスクが高いとされ、他にも熱いものの飲食によって食道がんの発症リスクが上がると言われています。
食道がんになりやすい人は?
- 飲酒によって顔が赤くなる方
- タバコを吸う方
- 50歳以上の男の人
- 腐食性食道炎・食道アカラシア、バレット食道を指摘された方
- 頭頚部のがんを患ったことがある方
上記に該当する方は、食道がんの発症リスクが高いので注意が必要です。自覚症状がない場合も胃カメラ検査で詳しく検査してもらいましょう。
食道がんの症状チェック
~初期症状はある?~
初期の食道がんは症状があまり現れません。そのため、病気を早く発見するために胃カメラ検査を受ける必要があります。
がんが進むにつれ、様々な症状が生じます。
- 咳
- 声が枯れる
- 食べ物が詰まる
- 熱いものがしみる
- 体重減少
- 胸や背中に痛みを感じる(背骨への転移によるもの)
食道がんが進むと上記のような症状が出てきます。なお、他の病気でも上記の症状は起こることがあるため、放置しないで病院を受診してください。
食道がんの検査と診断
食道がんの検査は胃カメラ検査とバリウム検査を行います。
胃カメラ検査とは、内視鏡スコープを口または鼻から挿入し、胃や十二指腸、食道などを直接観察する検査です。
胃だけではなく食道の病気の検出にも非常に優れています。検査中に疑わしい病変が発見された際は、その組織を採取し、病理組織検査を行うこともできます。早期の食道がんを発見するのに有効とされている方法です。
バリウム検査バリウム検査とは、バリウムを飲んでからレントゲンで食道や胃の状態を調べる検査です。ある程度大きくなった食道がんでは病気の状態がよく分かりますが、早期の食道がんを発見するにはあまり向いていません。進行食道がんになると、食道に潰瘍や隆起、狭窄を認めます。
当院では、鎮静剤や鎮痛剤を用いた苦痛のない胃カメラ検査を実施しております。お気軽にご相談ください。
食道がんの治療
食道がんを早期に発見できた場合、胃カメラ検査で内視鏡的に切除できます。患者様の状態に合わせて連携する病院への紹介を速やかに行えるよう万全を期しています。
内視鏡的治療
早期に発見した食道がんは、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)や内視鏡的粘膜切除術(EMR)などの内視鏡的治療を行います。
外科的治療
外科的治療は、食道の粘膜の深い場所まで拡大している食道がんに対して行います。内視鏡的治療でがんの進み具合を確認した後に、化学療法、手術、放射線治療を検討する場合もあります。
化学療法・放射線治療
手術で治療ができない場合は、化学療法、放射線治療で対応したり、進んだがんには化学療法を行ってから手術を行います。